🟦 はじめに:和製カタカナ語は“意味のズレ”を知ると読解が深くなる
日本語には、英語などの外来語が独自に意味変化した
“和製カタカナ語” が多く存在します。
これらは日常的に使われているため、
「なんとなく理解しているつもり」で読み進めると
本文の意図を誤読する危険性があります。
一方で、意味のズレを丁寧に理解しておくと:
- 語の“本来の意味”と“日本語での使われ方”の違いがわかる
- 現代文の「言語論」「コミュニケーション論」の理解が深まる
- 誤用しやすい語の判断力がつく
という大きなメリットがあります。
ここでは、
英語の意味と日本語の使われ方にズレが大きい重要語18語を紹介します。
🟦 カタカナ語③:和製カタカナ・意味ズレ語18選
コンプレックス(complex)
本来の意味: 複合体/複雑な構造
日本語の意味: 劣等感
現代文ポイント:
- “心理学用語”の意味(劣等感)は日本語独自の縮小意味。
- 「劣等感」の文脈以外でも使われるので、文脈で判断する。
スマート(smart)
本来の意味: 頭が良い・機敏
日本語の意味: すらりとしている・細身
現代文ポイント:
- 英語では“知性”の意味が中心。
- 日本語の外見的スマートと区別する必要がある。
ナイーブ(naive)
本来の意味: 世間知らずで騙されやすいほど純粋
日本語の意味: 繊細・感受性が強い
現代文ポイント:
- 日本語の“繊細寄り”の意味はかなり誤用に近い。
- 原義は“危うい純真さ”。
クレーム(claim)
本来の意味: 主張・要求
日本語の意味: 苦情
現代文ポイント:
- 英語圏では不満を言う場面で使われないことが多い。
- “主張の正当性”を読み違えないよう注意。
オーダー(order)
本来の意味: 順序/命令/制度
日本語の意味: 注文
現代文ポイント:
- 「秩序(social order)」の意味も重要。
- 日本語使用と隔たりが大きい語。
パフォーマンス(performance)
本来の意味: 成果・能力の発揮
日本語の意味: 演出・見せ場
現代文ポイント:
- “身体的・精神的な力の発揮”が原義。
- 日本語では“ショー的意味”に偏っている。
アナウンス(announce)
本来の意味: 発表・告知
日本語の意味: 駅や店内の“アナウンス放送”
現代文ポイント:
- 情報の公表という抽象意味が原義。
タレント(talent)
本来の意味: 才能
日本語の意味: テレビに出る芸能人
現代文ポイント:
- 英語圏では talent=能力・資質。
- 日本語の意味はほぼ完全に別物。
ダイエット(diet)
本来の意味: 食生活/栄養摂取の管理
日本語の意味: 減量
現代文ポイント:
- diet=“健康のための食事法”という意味が本来。
- 「痩せること」は派生的。
トラブル(trouble)
本来の意味: 問題・困難全般
日本語の意味: 故障・不具合
現代文ポイント:
- trouble=人間関係の問題や困難も含む。
- 日本語では“機械トラブル”に限定されがち。
リフォーム(reform)
本来の意味: 改革/改善
日本語の意味: 住宅の改修工事
現代文ポイント:
- “改革”という抽象意味は英語では中心。
- 日本語の建築用法は特化しすぎている。
コスト(cost)
本来の意味: 費用・犠牲
日本語の意味: 値段の高さ・安さの評価
現代文ポイント:
- “コストが高い=価格が高い”とは限らない。
- “労力・時間・犠牲”が重要。
アクセス(access)
本来の意味: 接近・利用可能性
日本語の意味: ネットの“閲覧数”(アクセス数)
現代文ポイント:
- 英語の access は抽象的で広い。
- 日本語はネット用法に偏っている。
サボる(saboter)
本来の意味: フランス語の“妨害する”
日本語の意味: 怠ける
現代文ポイント:
- 完全に日本語独自の意味変化。
- 言語の変化を論じる文章で登場。
プロデュース(produce)
本来の意味: 産出する・創出する/管理する
日本語の意味: 芸能人を育てる・演出
現代文ポイント:
- 英語では「計画・管理・作り出す」が中心。
- 日本語の“アイドルをプロデュース”は限定的用法。
マイペース(my pace)
本来の意味: 自分のペースで進むこと
日本語の意味: 自分勝手/空気を読まない
現代文ポイント:
- 本来は中立的な語で、否定的ニュアンスは日本語固有。
ミスコン(miss contest)※日本語独自略語
本来の意味: 英語圏では通じない
日本語の意味: ミスコンテスト
現代文ポイント:
日本語のカタカナ語が“英語っぽいが英語でない”例。
このように日本語では独自の略語造語が多数使われる。
🟦 まとめ:和製カタカナ語は“意味のズレ”を意識することが重要
今回の18語は、
英語の原義と日本語での使われ方に大きな隔たりがある語です。
このズレを理解しておくと、
現代文の言語論・コミュニケーション論で深い読みができるだけでなく、
語の本質的な意味をつかむ力が育ちます。
特に:
- 語の意味の変化
- 認識のズレ
- 社会における言葉の使われ方
といった文章では直接的に役立つ語彙です。

