はじめに:「〜主義」は現代文の〈思想のラベル〉である
大学入試の現代文、とくに評論文では、
「〜主義」という語が思想・価値観・立場を一語で要約するラベルとして頻出します。
筆者は、
- どの立場を支持しているのか
- どの立場を相対化・批判しているのか
- どの主義同士を対比しているのか
を、「〜主義」という言葉を使って一気に示します。
つまり、「〜主義」が分からないと、
文章全体の立ち位置(地図)が見えない状態になります。
この記事では、大学入試の現代文で特に重要な
「〜主義」語21語を、読解に直結する意味で整理します。
「〜主義」語の詳しい解説【大学入試の重要語21選】
功利主義(こうりしゅぎ)
意味: 最大多数の最大幸福を基準に、行為の正しさを判断する立場。
読解ポイント:
・「結果」を重視する倫理思想
・少数者の犠牲が正当化される危険性が論点になりやすい
対立軸: 義務論(カント的倫理)

実存主義(じつそんしゅぎ)
意味: 人間はあらかじめ決まった本質を持たず、選択と責任によって自己を形作るとする立場。
読解ポイント:
・自由と責任が必ずセットで語られる
・「不安」「主体的選択」という語と結びつきやすい
代表: サルトル
構造主義(こうぞうしゅぎ)
意味: 個々の現象よりも、それを支える背後の「構造」を重視する考え方。
読解ポイント:
・個人より「体系」「関係性」を見る
・言語・文化・神話論で頻出
代表: レヴィ=ストロース

ポスト構造主義(ぽすとこうぞうしゅぎ)
意味: 構造主義が前提とした固定的な意味や体系を批判する立場。
読解ポイント:
・意味の揺らぎ/差異/脱構築
・「決定不能性」が重要テーマ
代表: デリダ
相対主義(そうたいしゅぎ)
意味: 価値や真理は文化・時代・状況によって変わるとする立場。
読解ポイント:
・「普遍的価値」への批判とセットで登場
・文化相対主義の文脈が多い
対立軸: 普遍主義
個人主義(こじんしゅぎ)
意味: 個人の自由・権利・選択を最優先に考える立場。
読解ポイント:
・自由/自律/自己決定
・共同体との緊張関係が論点になる
対立軸: 全体主義

全体主義(ぜんたいしゅぎ)
意味: 国家・集団の利益を個人より優先する思想。
読解ポイント:
・管理・統制・画一化という語と結びつく
・批判的文脈で使われることが多い
関連: ファシズム

合理主義(ごうりしゅぎ)
意味: 理性・論理を最も信頼し、合理的判断を重視する立場。
読解ポイント:
・近代思想の基盤
・「計算可能性」「普遍性」がキーワード
対立軸: 反合理主義
反合理主義(はんごうりしゅぎ)
意味: 理性では捉えきれない感情・生・衝動を重視する立場。
読解ポイント:
・理性中心主義への批判
・芸術論・生の哲学で登場
代表: ニーチェ
経験主義(けいけんしゅぎ)
意味: 知識は経験・感覚から得られると考える立場。
読解ポイント:
・「生得観念」批判
・科学的思考と結びつく
代表: ロック/ヒューム
観念主義(かんねんしゅぎ)
意味: 世界の本質は精神・観念にあるとする立場。
読解ポイント:
・物質より精神を重視
・哲学史の対立軸として重要
対立軸: 唯物主義
代表: ヘーゲル
唯物主義(ゆいぶつしゅぎ)
意味: 人間や社会は物質的条件によって規定されると考える立場。
読解ポイント:
・経済・環境・労働条件が焦点
・社会構造批判と結びつく
関連: マルクス主義

決定論(けっていろん)
意味: すべての出来事は原因によって決まっており、自由意志は限定的だとする考え。
読解ポイント:
・自由意志との対立
・科学・脳科学の文脈でも登場
対立軸: 自由意志論
自由主義(じゆうしゅぎ)
意味: 政治的・経済的自由を最優先に考える立場。
読解ポイント:
・国家介入への警戒
・個人主義と重なりやすい
類義: リベラリズム
実用主義(じつようしゅぎ/プラグマティズム)
意味: 真理は「役に立つかどうか」で判断されるとする立場。
読解ポイント:
・抽象理論より実践重視
・教育論で頻出
代表: デューイ
表現主義(ひょうげんしゅぎ)
意味: 芸術の価値は感情や内面の表出にあるとする立場。
読解ポイント:
・模倣論との対比
・芸術論の定番用語
構成主義(こうせいしゅぎ)
意味: 知識や認識は主体が世界との関わりの中で構成するとする立場。
読解ポイント:
・教育論・学習論で頻出
・「受動的理解」批判とセット
実証主義(じっしょうしゅぎ/ポジティヴィズム)
意味: 観察・実験で確認できる事実のみを重視する立場。
読解ポイント:
・科学主義との関係
・価値判断を排除する姿勢
代表: コント

虚無主義(ニヒリズム)
意味: 伝統的価値や意味を否定し、世界の空虚さを主張する立場。
読解ポイント:
・「克服すべき思想」として語られることが多い
代表: ニーチェ(克服の文脈)
功績主義(こうせきしゅぎ)
意味: 個人の能力・成果によって評価すべきとする立場。
読解ポイント:
・格差社会・教育問題と直結
・公平性との緊張関係が論点

ミニマリズム(最小主義)
意味: 必要最小限を良しとする思想・美学。
読解ポイント:
・消費社会批判
・芸術・ライフスタイル論で登場
まとめ:「〜主義」は文章の立場を一瞬で示すキーワード
「〜主義」は、単なる難語ではありません。
それは、筆者の立場・価値判断・思想の位置を示すコンパスです。
現代文では、
- どの主義を支持しているのか
- どの主義を相対化・批判しているのか
- どの主義同士を対立させているのか
を意識することで、文章の構造が一気に見えてきます。
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