ブレーキで車はどう止まる?
車のタイヤと道路の間には摩擦力が働きます。一般的な自動車はこの摩擦力を利用して車の運動エネルギーを熱エネルギーに変換することで、スピードを落とし停止させています。今回は摩擦力を使って車が停止するまでの距離について考えてみましょう。
停止距離を求める
運動方程式は\(F=ma\)
等加速度直線運動の基本公式は\(v^2=v_0^2+2ad\)
動摩擦係数を\(\mu\)、車の質量を\(m\)、重力加速度を\(g\)とおくと、動摩擦力は進行方向に逆向きに作用するため\(-\mu mg\)となります。
運動方程式から停止するまでの加速度を求めると
\(a=\dfrac{F}{m}=\dfrac{-\mu mg}{m}=-\mu g\)
初速度を\(v_0\)、停止距離を\(d\)とすると、止まったときの速度は0なので基本公式より
\(\begin{align}&0=v_0^2+2ad\\&0=v_0^2+2(-\mu g)d\\&d=\frac{v_0^2}{2\mu g}\end{align}\)
これで停止距離を一般化して求めることができます。
数値で体感する
それでは、実際に速度が\(60km/h\)、動摩擦係数が0.70の場合の停止距離を求めてみましょう!(重力加速度は\(9.8m/s^2\)とします)
\(d=\dfrac{\left(\dfrac{60\times10^3}{60\times60}\,\text{m/s}\right)^2}{2\times0.70\times9.8m/s^2}≒20m\)
よって停止距離は\(20m\)となります。これは乾燥したアスファルト上で実際に車を停止させた場合とほぼ同じ値です!
ただし、実際に運転するときはブレーキを踏むまでの反応距離も加わるため、停止距離はさらに長くなることに気をつけてください。
いかがでしたか?
物理を知ることで日常の安全にもつながることが分かります。興味がある方は、雨の日の摩擦係数や人間の反応速度も踏まえて考えてみると、より身近で面白い発見があるかもしれません。
今日の公式
\(F=\mu mg\)
\(F=ma\)
\(v^2=v_0^2+2ad\)