「無音で集中できない」のは異常じゃない
― なぜ“音がある方が勉強しやすい脳”が存在するのか ―
「静かな図書館じゃないと集中できない」
そんな常識、実は全員に当てはまるわけではありません。
最近では、
- 咀嚼音
- タイピング音
- 雨音
- ASMR
など、「あえて音を流しながら勉強する人」が増えています。
そしてその多くがこう言います。
「無音だと逆に集中できない」
これは甘えでも、集中力不足でもありません。
脳の仕組みとして、ちゃんと理由がある現象です。
集中に必要なのは「静けさ」ではなく「覚醒レベル」
集中できるかどうかは、
「音があるか・ないか」ではなく
脳の覚醒レベルが適切かどうかで決まります。
脳は常に、
- 覚醒が低すぎる → 眠い・ぼーっとする
- 覚醒が高すぎる → ソワソワ・焦る
という両極端を避け、
ちょうどいい中間ゾーンを保とうとしています。
無音が逆効果になる人の脳内で起きていること
● 覚醒レベルが下がりすぎている
完全な無音状態では、
外部刺激がほとんど入らず、
脳は「安全・刺激なし」と判断します。
すると、
- 青斑核の活動が低下
- ノルアドレナリン分泌が減少
👉 結果:
眠気・集中力低下・思考停止
特に、
- 夜勉強
- 疲れているとき
- 体が冷えているとき
に起きやすい現象です。
音があると集中できる理由①
青斑核が適度に刺激されるから
青斑核は、
覚醒・注意・集中力を司る脳の司令塔。
咀嚼音・環境音・リズム音などの
「弱くて一定の音」は、
- 脳を驚かせない
- でも“起きていて”と伝える
というちょうどいい刺激になります。
これにより、
- ノルアドレナリンが適度に分泌
- 覚醒レベルが集中ゾーンへ
👉 無音より集中できる状態が生まれる。
音があると集中できる理由②
雑念を“音で埋めている”
無音状態では、
脳は「内側の音(思考)」を拾いやすくなります。
- 今日のこと
- 不安
- どうでもいい考え
これらが浮かびやすい。
一定の音があると、
- 外部刺激に注意が少し向く
- 雑念の侵入が減る
👉 考えすぎを防ぎ、作業に戻りやすくなる。
なぜASMRや咀嚼音は「心地いい」のか?
● 音の特徴がカギ
ASMRや咀嚼音は、
- リズムが一定
- 周波数が低〜中音域
- 予測可能
という特徴があります。
これは脳にとって
安心できる音。
● 扁桃体を刺激しにくい
突発的な音や大きな音は、
扁桃体(不安・警戒)を刺激します。
ASMR系の音はそれが少なく、
- 不安が出にくい
- 副交感神経が保たれる
👉 「落ち着く」「癒される」と感じる正体。
無音が向いている人・音が向いている人
無音が向いている人
- もともと覚醒レベルが高い
- 朝型
- カフェインが効きやすい
音が向いている人
- 疲れやすい
- 夜勉強が多い
- 冷え性
- 単調作業が苦手
👉 どちらが正しい・間違いではなく
脳の特性の違い。
勉強におすすめの「音の使い方」
- 咀嚼音(ガム・グミ・せんべい)
- 雨音・環境音
- 小さめのホワイトノイズ
※ 歌詞付き音楽は
言語処理と競合しやすいので注意。
まとめ|「無音信仰」を手放していい
「無音で集中できない自分はダメ」
そう思う必要はありません。
脳には、
- 静かで集中するタイプ
- 適度な刺激で集中するタイプ
両方が存在します。
大切なのは、
自分の脳が“動きやすい環境”を知ること。
音は、
集中を邪魔するものではなく、
集中を助けるスイッチになることもあるのです。
※この記事は【教科別ミニ読み物】の一部です。
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