なぜ今「生姜」が注目されるのか?
― 免疫・体温・化学から読み解く、生姜の本当の実力 ―
コロナやインフルエンザなどの感染症が流行する季節になると、
「体を温めよう」「免疫を上げよう」という言葉をよく耳にします。
そんな中、昔から日本の食卓にあり続ける食材が「生姜(しょうが)」です。
生姜は「体に良さそう」というイメージだけで語られがちですが、
実はその効果にははっきりとした化学的・生理学的な理由があります。
この記事では、生姜が
- なぜ体を温めるのか
- なぜ免疫に良いのか
- なぜ加工法で効果が変わるのか
を、科学と化学の視点から分かりやすく解説します。
生姜の正体|まずは成分を知ろう
生姜の働きを理解するために、まず重要なのが主要な化学成分です。
生姜の代表的な有効成分
- ジンゲロール
- ショウガオール
- ジンゲロン
これらはすべて、生姜特有の辛味・香り・刺激のもとになる成分で、
同時に生理作用の中心を担っています。
なぜ生姜は「体を温める」のか?
ポイント① 血流を増やすから
生姜に含まれるジンゲロールやショウガオールは、
血管を拡張し、血流を促進する作用があります。
血流が良くなると、
- 酸素
- 栄養
- 免疫細胞
が体のすみずみまで運ばれやすくなり、
結果として「体が温かく感じる」状態になります。
ポイント② 交感神経を適度に刺激するから
生姜の辛味成分は、舌や胃腸の感覚受容体(TRPV1)を刺激します。
この刺激が脳に伝わることで、代謝が活性化されます。
代謝が上がる
= エネルギー産生が増える
= 体内で熱が作られる
👉 これが「生姜を食べるとポカポカする」正体です。
生姜はなぜ免疫にいいと言われるのか?
① 免疫細胞が働きやすい環境を作る
免疫細胞(白血球・リンパ球など)は、
体温が低いと動きが鈍くなることが知られています。
生姜による血流促進と体温上昇は、
- 免疫細胞の移動
- 病原体への反応速度
を高める方向に働きます。
② 抗炎症・抗酸化作用がある
生姜成分には、
- 炎症を抑える
- 活性酸素を減らす
という作用があります。
感染症の重症化は、
「ウイルスそのもの」より
「体の炎症反応が暴走すること」で起こる場合も多い。
👉 生姜は免疫を過剰にせず、適切に保つサポート役とも言えます。
生姜は調理法で効果が変わる?
ここが生姜の面白いところです。
生の生姜(ジンゲロール多め)
- さっぱりした辛味
- 血流促進はあるが、作用は比較的マイルド
- 夏向き・食欲刺激向き
加熱した生姜(ショウガオール増加)
加熱や乾燥によって、
ジンゲロール → ショウガオールへ変化します。
ショウガオールは、
- 体を深部から温める
- 血流促進作用が強い
👉 冷え対策・冬向き・免疫サポートに最適。
なぜ生姜はいろんな形に加工されるのか?
● 紅ショウガ
- 酢による保存性アップ
- 食欲増進
- 消化促進
脂っこい食事と相性がいいのは、
消化酵素分泌を助けるため。
● ガリ(寿司生姜)
- 口の中をリセット
- 殺菌・抗菌作用
- 胃腸刺激を和らげる
寿司の合間に食べるのは、
味覚リセット+食中毒予防という理にかなった理由があります。
● 乾燥生姜・粉末生姜
- ショウガオールが多い
- 保存性が高い
- 温活・免疫ケア向き
飲み物に少量入れるだけでも効果が出やすい形態。
生姜のその他の化学的メリット
● 消化促進
- 胃液分泌を促す
- 腸の蠕動運動を助ける
👉 勉強中・仕事中の「胃が重い」を防ぐ。
● 抗菌・抗ウイルス作用
試験管レベルでは、生姜成分が
一部の細菌・ウイルスの増殖を抑えることが確認されています。
※万能薬ではないが、体の防御力を底上げする存在。
● 集中力サポート
血流増加 → 脳への酸素供給UP
結果として、
- ぼーっとしにくい
- 冷え由来の集中力低下を防ぐ
という副次的メリットも。
まとめ|生姜は「地味だけど理にかなった食材」
生姜は派手なスーパーフードではありません。
でも、
- 血流を良くする
- 体温を保つ
- 免疫が働きやすい環境を作る
- 調理法で効果を調整できる
という点で、非常に理にかなった食品です。
感染症が流行る今こそ、
「特別なこと」より
毎日の食事に少し生姜を足すことが、
体を守る一歩になるかもしれません。
※この記事は【教科別ミニ読み物】の一部です。
他教科のミニ読み物は、まとめページからご覧いただけます。

