充電速度はケーブルで変わる?
スマホを充電するとき,ケーブルの長さや太さを気にしたことはありますか?おそらく多くの人はあまり意識していないと思います。しかし,「できるだけ早く充電したい」と思う人は多いはずです。
実はその充電速度,充電器だけでなく,ケーブルの条件によっても変わってしまいます。今回は,普段あまり意識しない「充電ケーブル」に注目して,何が起きているのか物理の視点から見ていきましょう。
ケーブルの抵抗
充電ケーブルは電気を流す導線ですが,完全に電気を通すわけではなく,わずかな抵抗を持っています。
導線の抵抗 \(R\) は,次の式で表されます。
\[R=\rho\dfrac{l}{S}\]
\(l\):ケーブルの長さ,\(S\):断面積(太さ),\(\rho\):抵抗率(材料によって決まる値)
この式から,ケーブルが長いほど抵抗は大きくなり,太いほど抵抗は小さくなるということが分かります。
例えば,抵抗率 \(\rho=1.5\times10^{-8}\mathrm{\Omega\cdot m}\),断面積 \(S=0.5\mathrm{mm^2}\),長さ \(l=1\mathrm{m}\) のケーブルを考えてみましょう。このとき抵抗は
\[R=\dfrac{1.5\times10^{-8}\times1}{0.5\times10^{-6}}=0.03\mathrm{\Omega}\]
となります。ここに電流 \(1\mathrm{A}\) を流すと
\[V=IR=0.03\mathrm{V}\]
の電圧降下がケーブル内で起こります。この分だけ,スマホに届く電圧は小さくなってしまいます。
素材による違い
抵抗率 \(\rho\) はケーブルの素材によって変わります。
例えば,基本的に素材として使われることの多い銅とアルミニウムの抵抗率は,それぞれ
・銅:\(\rho=1.7\times10^{-8}\mathrm{\Omega\cdot m}\)
・アルミニウム:\(\rho=2.8\times10^{-8}\mathrm{\Omega\cdot m}\)
です。このことから,アルミニウムよりも銅の方が約1.65倍抵抗が小さいことが分かります。
長さや太さが同じ条件であれば,抵抗率の小さい銅製ケーブルの方がより効率よく充電できるのです。
いかがでしたか?
毎日のように利用する充電ケーブルも,長さや太さ,素材といった物理的な条件によって性能が変わってきます。物理を活用することによって,日常が少しだけ便利に感じられるかもしれませんね。
今日の公式
\(R=\rho\dfrac{l}{S}\)
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