現代文読解のための語彙力|「〜的」語まとめ【大学入試の重要語48選】

目次

はじめに:なぜ「〜的」は現代文で超重要なのか

大学入試の評論文では、「〜的」という語尾をもつ抽象語が、
筆者の立場・論理展開・設問のキー になっていることが非常に多くあります。

たとえば、「恣意的」「対蹠的」「構造的」「批判的」などの語が理解できないと、
読み違え・選択肢の誤答につながるため、難関大ほど頻出かつ重要語になります。

この記事では、共通テスト~難関私大レベルの「〜的」語を分類しながらわかりやすく整理します。
(参考:インスタで連載中の “1日1語シリーズ” と連動しています)


① 抽象思考・対立構造を表す「〜的」語

対蹠的(たいしょてき)

正反対の関係にあること。対照的より強い対立。
例)主観と客観は対蹠的関係にある。

弁証法的

対立する2つの考えを統合して、高次の段階に進む。
(ヘーゲル哲学)

逆説的

一見矛盾しているようで、実は真理を含む状態。

パラドキシカル(paradoxical)

逆説的・常識に反して見えるが意味がある。

二項対立的

自然/文化、主観/客観、感性/理性などの対立で議論を構成すること。

循環的

原因と結果が巡り続ける関係。

還元的

複雑なものを単純な要素に分解して説明しようとする。
(しばしば批判的に使われる)

二元的

物事を二つの要素で割り切る捉え方。
(例:善と悪)

統合的

対立する立場を1つにまとめる方向性。


② 思想・哲学・文化論に関わる「〜的」語

観念的

現実よりも理想・思考・頭の中の世界を優先する。

実存的

今ここに生きる人間の在り方に関わる。

形而上的

目に見えない抽象・精神の領域。

形而下的

感覚でとらえられる具体・物質の領域。

本質的

物事の根本に関わる。

現象的

外に現れた表面の様子。

構造的

背後にある仕組みに注目する。

超越的

現実の範囲をこえる。

内在的

内部に原因・根拠がある(⇔外在的)。


③ 社会・文化批評の「〜的」語

功利的

損得・効用を重視する(=功利主義的)。

功績的

結果や成果で評価する。

機能的

目的を果たす仕組みに注目。

形式的

形だけ整っていて中身が伴わない。

実質的

中身・意味・本体を重視する。

操作的

使いやすさ・運用性を重視する。

制度的

社会のルール・仕組みに基づく。

象徴的

事物が別の意味を示す。

表層的

表面的で浅い。

内面的

心の深い部分に関わる。


④ 科学・論理・知識構造に関する「〜的」語

演繹的

一般法則 → 個別の結論。

帰納的

個別の事例 → 一般法則。

構成的

要素を組合わせて全体をつくる。

分析的

分解して調べる。

体系的

秩序立てて全体で理解する。

批判的

問題点を吟味する(=否定ではない)。

相関的

お互いに関係し合う。

自律的

自分の原理で動く(⇔他律的)。

多義的

一語が複数の意味をもつ。

一義的

意味が1つに定まっている。


⑤ 現代思想・メディア論における「〜的」語

記号的

意味を担うしるしとして存在する。

虚構的

現実ではなく作り物の世界に属する。

二重的(ふたえてき)

表と裏、意識と無意識、自由と束縛などが両立、二つの面を併せ持つ。

媒介的

AとBの間を取り持つ。

差異的

違いによって意味が生じる(デリダ)。

文化相対主義的

文化ごとに価値基準は異なるという立場。

権威的

上から押しつけるような態度。

全体主義的

個人より全体を優先。

排他的

他を受け入れない。

包括的

広く受け入れる(⇔排他的)。


⑥ 表現・言語・芸術に関する「〜的」語

示唆的

はっきり言わずに気づかせる(⇔明示的)。

暗示的

直接言わずほのめかす。

象徴的

(上で出たが)表現ジャンルでも超重要語。

比喩的

たとえ表現。

含意的

言外の意味を含む。

婉曲的

遠回しに表す。


まとめ:現代文の抽象語を「意味×分類」で理解しよう

「〜的」語は、

  • 論理構造
  • 思想的背景
  • メディア論
  • 言語論
  • 表現の読み取り

など、評論文の中心テーマと直結します。

分類して覚えると
「筆者はどの立場を取っているのか」
「この選択肢は何を根拠にしているのか」
が一気に読みやすくなります。


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