📘 現代文読解のための語彙力|カタカナ語②【抽象・思想編|重要語20選】

目次

🟦 はじめに:抽象度の高い“思想系カタカナ語”は読解の核心

現代文の評論文では、哲学・心理・社会科学の領域から生まれた抽象度の高いカタカナ語が多用されます。

これらの語は

  • 筆者の主張の中心概念(キーコンセプト)
  • 対立する価値観(パラダイム/イデオロギー)
  • 論理展開の軸(アナロジー/コンテクスト)

を形づくるため、意味が曖昧なまま読み進めると、文章の“どこが核心か”がつかみにくくなるのが特徴です。

ここでは、難関大〜共通テストまで評論で頻出する“抽象カタカナ語20語”を厳選して解説します。

🟦 カタカナ語②:抽象・思想編|重要語20選


イデオロギー(ideology)

意味: 社会や集団を支える価値観・信念体系。
現代文ポイント:

  • 政治・社会論の中心語
  • “無自覚に従っている前提”として語られることも多い
    注意点: 「偏った思想」という意味ではない(日本語の俗用注意)。

パラダイム(paradigm)

意味: ものごとを理解する枠組み・前提。
現代文ポイント:

  • 科学史・思想史で頻出
  • パラダイム転換=前提そのものが変わる
    注意点: 柔らかく“考え方の型”と捉えると読みやすい。

アナロジー(analogy)

意味: 似たものごとを使った比較・類推の方法。
現代文ポイント:

  • 抽象概念を説明するときに筆者がよく使う
  • 「〜にたとえることで理解が深まる」という場面が多い
    注意点: 勝手なこじつけではない。

アプリオリ/アポステリオリ(a priori / a posteriori)

意味:

  • アプリオリ=経験に先立つ前提
  • アポステリオリ=経験後に得る知識
    現代文ポイント: 哲学(カントなど)で最重要。
    注意点: “生まれつき”とは少し違う。

コスモロジー(cosmology)

意味: 世界の成り立ちをどう捉えるかという世界観。
現代文ポイント:

  • 自然観・宇宙観・文化論に登場
  • “人間は世界をどう理解してきたか”がテーマのときに出る。

ジレンマ(dilemma)

意味: どちらを選んでも問題が残る板挟み状態。
現代文ポイント: 社会問題や倫理問題の論点提示でよく出る。


ステレオタイプ(stereotype)

意味: 固定的なイメージ・思い込み。
現代文ポイント:

  • 差別・偏見・ジェンダーの文脈で重要
  • “社会が作り上げた認識”との関連が強い。

コンフリクト(conflict)

意味: 対立・衝突。
現代文ポイント:

  • 個人対個人
  • 集団対集団
  • 思想対思想
    のどれにも使える万能語。

プロトタイプ(prototype)

意味: 典型・原型となるモデル。
現代文ポイント: 心理学・分類論で登場。
注意点: “試作機”の意味と混同しないように。


レトリック(rhetoric)

意味: 言葉の技法・表現の工夫。
現代文ポイント:

  • 比喩や皮肉を読み解く際に使う
  • “巧みな表現”の意味で筆者が使うことも多い。

ダイレクト(direct)

意味: 直接的であること。
現代文ポイント:

  • 伝達方法
  • 表現のストレートさ
    などを説明するために使われる。

シンボル(symbol)

意味: 象徴・何かを代表する記号。
現代文ポイント: 比喩表現の読み取りに直結。


ミニマル(minimal)

意味: 最小限・極めて小さな。
現代文ポイント:

  • 美学・芸術論
  • 文化の“シンプル化”
    の文脈で頻出。

アーカイブ(archive)

意味: 情報資源・記録を保存し、利用できるようにする仕組み。
現代文ポイント: 情報社会論で重要。


オルタナティブ(alternative)

意味: 既存のものに代わる新しい選択肢。
現代文ポイント:

  • 代替案
  • 新しい生き方・価値観
    の議論に多用。

パースペクティブ(perspective)

意味: 物事の見方・視点・遠近感。
現代文ポイント: 論点の位置取り・視点の違いを説明する語。


ポテンシャル(potential)

意味: 潜在的な力・可能性。
現代文ポイント: 「まだ表れていない力」を論じる際の核心語。


インテグリティ(integrity)

意味: 高潔さ・誠実さ・全体性。
現代文ポイント: 組織論・リーダー論で現代的に重要。
注意点: 一語で多義的なので文脈把握が必要。


ダイバーシティ(diversity)

意味: 多様性。
現代文ポイント: 社会学・ジェンダー論・文化論で最重要語の一つ。


エンパシー(empathy)

意味: 共感・相手の気持ちを“感じ取る”こと。
現代文ポイント: コミュニケーション論・心理学で頻出。
注意点: “シンパシー(同情)”とは別物。


🟦 まとめ:抽象カタカナ語は“主張を読むためのキーワード”

今回の20語は、抽象的な議論・価値観の対立・筆者の思想構造を理解するための基本語彙です。

これらを身につけることで:

  • 抽象論の構図が掴みやすくなる
  • 本文中の“議論の軸”を追えるようになる
  • 選択肢の正誤判断が安定する
  • 社会・哲学・心理の評論が読みやすくなる

といった力が育ちます。

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