🟦 はじめに:なぜ四字熟語が現代文で重要なのか
大学入試の現代文では、本文中の語彙を正しく理解できるかどうかが、
読解の方針・筆者の主張の把握・選択肢の絞り込み に直結します。
その中でも四字熟語は、
- 抽象的な思考を短い語で表すことができる
- 文章の比喩・構造把握・心情理解に深く関係する
- 評論でも物語でも汎用的に使われる
という特徴があり、理解していると読解力が大きく伸びる語彙です。
この「四字熟語①」では、
現代文読解で特に“意味を知っているだけで一気に理解が深まる”20語
を厳選してまとめました。
🟦 四字熟語①:読解に効く重要語20選(一覧)
自家撞着(じかどうちゃく)
意味: 自分の主張や行動が内部で矛盾していること。
注意点: 「自己矛盾」を漢語化した表現。筆者の論の破綻を指摘する文脈で登場。
付和雷同(ふわらいどう)
意味: 自分の考えをもたず、他人の意見に安易に従うこと。
注意点: 批判的な文脈で用いられる。
隔靴掻痒(かっかそうよう)
意味: 思いどおりにいかず、もどかしいこと。
注意点: 「本質に届かない状態」の比喩。
疑心暗鬼(ぎしんあんき)
意味: 一度疑い始めると、すべてが怪しく見えてしまうこと。
注意点: 人物の心理の変化を読む際に重要。
意気軒昂(いきけんこう)
意味: 意気込みが盛んで元気いっぱいなさま。
注意点: 文章全体の雰囲気(トーン)を判断するときに役立つ。
右往左往(うおうさおう)
意味: 混乱してうろたえること。
注意点: 状況描写によく出る。
千差万別(せんさばんべつ)
意味: さまざまであること、多様性が大きいこと。
注意点: 個体差・多様性の議論で頻出。
朝令暮改(ちょうれいぼかい)
意味: 方針や決まりがすぐに変わること。
注意点: 政治や組織論の文脈でよく出る。
傍若無人(ぼうじゃくぶじん)
意味: 周囲を無視して勝手なふるまいをすること。
注意点: 性格描写や倫理的問題を読む際に登場。
独断専行(どくだんせんこう)
意味: 他人に相談せず独自判断で物事を進めること。
注意点: 組織行動やリーダー論で頻出。
当意即妙(とういそくみょう)
意味: 場に応じて素早く的確な対応をすること。
注意点: コミュニケーションの巧みさを表す。
以心伝心(いしんでんしん)
意味: 言葉によらず気持ちが通じ合うこと。
注意点: 日本文化論で登場しやすい。
牽強付会(けんきょうふかい)
意味: 無理にこじつけること。
注意点: 他者の論に対する批判としてしばしば用いられる。
空前絶後(くうぜんぜつご)
意味: 前にも後にも例がないほど珍しいこと。
注意点: 誇張表現。歴史・文化の文脈でも出る。
意気消沈(いきしょうちん)
意味: 元気をなくし、落ち込んでいること。
注意点: 心情変化の読み取りで重要。
内憂外患(ないゆうがいかん)
意味: 国内にも国外にも心配事があること。
注意点: 社会・政治の安定を論じる際に使用される。
公明正大(こうめいせいだい)
意味: 公平で正しく、隠しだてがないこと。
注意点: 組織や人物の評価に登場。
質実剛健(しつじつごうけん)
意味: 飾り気がなくまじめで、精神が強いこと。
注意点: 日本文化・美意識の議論に現れる。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)
意味: 正体不明で怪しいもののたとえ、混乱した状況の比喩。
注意点: 抽象論や社会描写で比喩表現として使用される。
温故知新(おんこちしん)
意味: 昔の事柄から新しい考えを学ぶこと。
注意点: 教育・文化・歴史の文脈で万能に使える。
🟦 まとめ:四字熟語を押さえると読解が一段深まる
四字熟語は、抽象的な概念を一言で圧縮した“思考のショートカット” のような存在です。
これらの語の意味を正確に理解しておくと、
- 筆者の主張の方向性
- 文章の構造
- 心情の変化
- 比喩・象徴表現の意図
が一気に読み取りやすくなります。
次回の 四字熟語②(知っておきたい20語) も、
読解の基礎を強化する語を中心にまとめていきます!

