【数学】\(1+2+3+…=-\frac{1}{12}\) これって正しい?|数学の豆知識

導入

みなさんは自然数を\(1\)から順番に足して\(1+2+3+4+…\)としたとき、その答えはどうなると思いますか?

もちろん答えは\(\infty\)ですが、下のように考えると答えが\(-\frac{1}{12}\)になってしまいます!!

「いやいや、自然数を足していったのになんで答えがマイナスになってしかも分数になるんだ?」と思った人がほとんどだと思います。しかし、下の証明を見ても本当にこれが間違っていると言えるでしょうか??

早速証明を見てみましょう!

\(1+2+3+…=-\frac{1}{12}\)の証明

\(S=1+2+3+4+…\)

\(T=1-2+3-4+…\)とおく。

ここで、

\(T\)

\(=1-2+3-4+…\)

\(=(1+2+3+4+…)-2(2+4+6+8+…)\)

\(=(1+2+3+4+…)-4(1+2+3+4+…)\)

\(=S-4S\)

\(=-3S\)

となる。

今、関数\(f(x)=\frac{x}{1+x}\)を考える。

これは初項\(x\)、公比\(-x\)の無限等比級数と考えることが出来るため、\(x-x^2+x^3-x^4+…=\frac{x}{1+x}\)となる。

両辺を微分して、\(1-2x+3x^2-4x^3+…=\frac{1}{(1+x)^2}\)

この式に\(x=1\)を代入することで、\(1-2+3-4+…=\frac{1}{4}\)となる。

左辺は\(T\)であるが、\(T=-3S\)に注意すると

\(-3S=\frac{1}{4}\)

よって、\(S=-\frac{1}{12}\) である。

この証明は正しい?間違ってる?

この証明、皆さんは正しいと思いますか?それとも間違ってると思いますか?

正解は…

間違っている!!

(逆に合っていたらかなり衝撃的ですよね…)

では、どこが間違っているのかを見てみましょう。

①そもそも収束しないものを文字でおいてはいけない

例えば、「\(\infty =x\)とおく。」といったことをしてはいけないということは学校でも習っているでしょうか?

\(\infty\)においては\(\infty+1=\infty\)のような式が成り立ってしまう(本当はこのような書き方も少し怪しいというところですが)ことから、\(x+1=x\)、よって、\(1=0\)のような奇妙な結果が得られてしまいます。

先ほどでは\(S=1+2+3+…\)のようにしていますが、これが収束しないことは級数の収束の必要条件

「\(\sum_{n=1}^{\infty} a_n\)が収束する\(\Rightarrow \lim_{n\to \infty}a_n=0\)」の対偶からすぐに分かります。

よって、\(S=1+2+3+4+…\)のようにすることは許されていません。(\(T\)についても同様です)

② 収束しない級数において、足す順番を変えてはいけない

これはあまり聞いたことがないかもしれないですが、収束しない無限級数で足す順番を変えると答えも変わってしまうことがあります!

例: \(1-1+1-1+…\)について…

この級数は振動することから、収束はしません。

しかし、足す順番を変えて\((1-1)+(1-1)+(1-1)+…\)とするとこれは\(0\)に収束することとなり、また\((1+1-1)+(1+1-1)+…\)とするとこれは\(\infty\)に発散することとなります。

このように収束しない級数に対しての順序交換は許されていないことから、\(T=1-2+3-4+…\)を\(T=(1+2+3+4+…)-2(2+4+6+8+…)\)のように変形することはできません。

③ \(x-x^2+x^3-x^4+…=\frac{x}{1+x}\)は\(-1<x<1\)でしか成立しない

上の式は「収束する」無限等比級数で成り立つ公式となっていますが、左辺は公比\(-x\)が\(-1<-x<1\)(すなわち\(-1<x<1\))を満たすときでないと収束しないことから、この公式は\(-1<x<1\)の範囲内でしか使うことが出来ません。

よって、証明の中で行ったような「\(x=1\)を代入する」といった行為は出来ません。

まとめ

無限という概念を普通の数と同じようにして扱うとかなり奇妙なことが成り立つということが分かったと思います。

(他にも無限関連の不思議な話はたくさんあるため、今後も紹介していきます!)

皆さんも無限を扱うときは十分に注意してください!

(今回扱った話は大学で習う\(\zeta\)関数(ゼータ関数)解析接続という概念が深く結びついています。より深く知りたい人は下の「より詳しく知りたい人向け(発展)」というところをクリックしてください!)

より詳しく知りたい人向け(発展)

\(\zeta\)関数とは1より大きい数\(s\)に対して定義される関数で、\(\zeta (s)=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^s}\)のようにして定義されます。

これは本来\(s>1\)でしか考えることのできない関数ですが、解析接続という「良い拡張方法」により定義域を広げて考えることで、定義域を\(1\)以外のすべての複素数まで広げることが出来ます。

その解析接続により定義域を広げた\(\zeta\)関数に対しては、\(\zeta (-1)=-\frac{1}{12}\)となることが知られています。

さらに、\(\zeta\)関数の定義式に\(s=-1\)を「強引に」代入することで\(\zeta (-1)=\sum_{n=1}^{\infty} n\)となることから、\(\zeta (-1)=\sum_{n=1}^{\infty} n=-\frac{1}{12}\)が成り立つように見えます。

しかし上で「強引に」と述べたとおり、一般に解析接続により広げられた定義域では\(\zeta (s)=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^s}\)といった式は使えないため、やはり\(1+2+3+…=-\frac{1}{12}\)は成り立ちません。

正確には\(1+2+3+…=-\frac{1}{12}\)ではなく、\(\zeta (-1)=-\frac{1}{12}\)と言うべきですね。


※この記事群は【教科別ミニ読み物】の一部です。
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