問題
複素数平面上の点\(\frac{1}{2}\)を中心とする半径\(\frac{1}{2}\)の円の周から原点を除いた曲線を\(C\)とする。
(1)曲線\(C\)上の複素数\(z\)に対し, \(\frac{1}{z}\)の実部は1であることを示せ。
(2)\(\alpha, \beta\)を曲線\(C\)上の相異なる複素数とするとき, \(\frac{1}{\alpha ^2}+\frac{1}{\beta ^2}\)がとりうる範囲を複素数平面上に図示せよ。
(3)\(\gamma\)を(2)で求めた範囲に属さない複素数とするとき, \(\frac{1}{\gamma}\)の実部がとりうる値の最大値と最小値を求めよ。
方針
(1)実数\(a,b\) \((a,b)\ne (0,0)\)を用いて\(z=a+bi\)と表し、\(z\)についての方程式\(|z-\frac{1}{2}|=\frac{1}{2}\)に\(z=a+bi\)を代入することで、\(a\)と\(b\)の関係式を求める。
これと、\(\frac{1}{z}=\frac{1}{a+bi}=\frac{a}{a^2+b^2}-\frac{b}{a^2+b^2}i\)であることから、先ほど求めた関係式を用いて\(\frac{a}{a^2+b^2}=1\)となることを証明する。
(2) (1)より、相異なる2つの実数\(a,b\)を用いて\(\frac{1}{\alpha}=1+ai\), \(\frac{1}{\beta}=1+bi\)のように表すことが出来る。
ここで\(\frac{1}{\alpha ^2}+\frac{1}{\beta ^2}=X+Yi\) (\(X,Y\in \mathbb{R}\))とおくと、\(\frac{1}{\alpha ^2}+\frac{1}{\beta ^2}\)に\(\frac{1}{\alpha}=1+ai\), \(\frac{1}{\beta}=1+bi\)を代入して整理することで、\(X+Yi\)が求める領域(\(D\)とする)に属するための必要十分条件は「ある\(a,b\in \mathbb{R}\) (\(a\ne b\))が存在して、\(X=2-a^2-b^2\), \(Y=2(a+b)\)が成り立つ」ことだと分かる。(※解答の下の補足を参照)
\(X,Y\)がそれぞれ\(a,b\)の対称式になっていることに注意して、変数変換\(u=a+b\), \(v=ab\)を施して解く。
(3) (2)の結果から\(x,y\in \mathbb{R}\)について\(x+yi\in D\Leftrightarrow x<-\frac{y^2}{8}+2\)が分かるから、\(\gamma=x+yi \notin D\Leftrightarrow x\geq -\frac{y^2}{8}+2\)
\(\frac{1}{\gamma}=\frac{1}{x+yi}=\frac{x}{x^2+y^2}-\frac{y}{x^2+y^2}i\)であることに注意すると、この問題は以下のように言い換えられる。
「条件\(x\geq -\frac{y^2}{8}+2\)を満たす\(x,y\in \mathbb{R}\)に対して、\(\frac{x}{x^2+y^2}\)の最大値・最小値を求めよ。」
この問題について、\(x\)を固定することで考えてみる。
解答



補足
「方針」の(2)でした議論では、「\(X+Yi\)が求める領域(\(D\)とする)に属するならば、ある\(a,b\in \mathbb{R}\) (\(a\ne b\))が存在して、\(X=2-a^2-b^2\), \(Y=2(a+b)\)が成り立つ」ということは言えるが、その逆は言えない。
その理由としては、本当に\(a,b\)が任意の実数値をとりうるのかが分かっていないというものである。
「方針」の(2)において、まず\(C\)上の点を\(\frac{1}{\alpha}=1+ai\), \(\frac{1}{\beta}=1+bi\)のようにして考えたが、逆にどんな実数\(a,b\)に対しても\(\alpha=\frac{1}{1+ai}\)や\(\beta=\frac{1}{1+bi}\)が曲線\(C\)上の点になるのかということについては確認していない。
上の「解答」においては、今述べた逆の確認を(2)の解答の最初に行っている。

