問題
原点を出発点として数直線上を動く点\(P\)がある。試行(*)を次のように定める。
(*)
「1枚の硬貨を1回投げて
・表が出た場合は点\(P\)を正の向きに1だけ進める。
・裏が出た場合は1個のさいころを1回投げ、
奇数の目が出た場合は点\(P\)を正の向きに1だけ進め、
偶数の目が出た場合は点\(P\)を負の向きに2だけ進める。」
ただし、硬貨を投げた時表裏の出る確率はそれぞれ\(\frac{1}{2}\)、さいころを投げたとき1から6までの整数の目の出る確率はそれぞれ\(\frac{1}{6}\)とする。このとき、以下の問いに答えよ。
(1) 試行(*)を3回繰り返したときに、点\(P\)が原点に戻っている確率を求めよ。
(2) 試行(*)を6回繰り返したときに、点\(P\)が原点に戻っている確率を求めよ。
(3) \(n\)を\(3\)で割り切れない正の整数とする。試行(*)を\(n\)回繰り返したときに、点\(P\)が原点に戻っている確率を求めよ。
方針
この問題はほかの大問に比べるとかなり簡単な部類に入るため、必ず得点してもらいたい。
まず、正の向きに1だけ進む確率が\(\frac{1}{2}+\frac{1}{4}=\frac{3}{4}\)、負の向きに2だけ進む確率が\(\frac{1}{4}\)であることに注意する。
これを用いて問題を解いていく。
(1) 題意を満たすためには、「正の向きに1だけ進む(確率\(\frac{3}{4}\))のを2回、負の向きに2だけ進む(確率\(\frac{1}{4}\))のを1回」とすればよい(逆にこれ以外はあり得ない)。
これと、反復試行の確率の公式を用いて確率を求める。
(2) 題意を満たすためには、「正の向きに1だけ進む(確率\(\frac{3}{4}\))のを4回、負の向きに2だけ進む(確率\(\frac{1}{4}\))のを2回」とすればよい(逆にこれ以外はあり得ない)。
これと、反復試行の確率の公式を用いて確率を求める。
(3) 題意を満たす進み方が、「正の向きに1だけ進む(確率\(\frac{3}{4}\))のを\(k\)回、負の向きに2だけ進む(確率\(\frac{1}{4}\))のを\((n-k)\)回」であるとする。
最終的に動点\(P\)は原点にいなければいけないため、\(1\cdot k+(-2)(n-k)=0\)となる。
よって、\(k=\frac{2}{3}n\)となる。
当然\(k\)は非負の整数でなければいけないため、上の式から\(n\)は3の倍数でなければいけないが、それは問題文の仮定に反する。
よって、題意を満たす\((n,k)\)の組が存在しないことから、確率は\(0\)となることが分かる。
解答

補足
今回のように方針の段階で「複数の設問においてほとんど同様の方針で解くことが出来そうだ」と予想できる問題は、同じことを各設問で何度も書くのは面倒なので、上の解答のように(1)に入る前に一般論を展開することで記述の煩雑を避けることが出来る。
(論理に支障が出ない範囲で)記述を省略することで時間の短縮に繋がるため、こういった問題では積極的にやってほしい。

