問題
正の実数からなる2つの数列\(\{x_n\}\)、\(\{y_n\}\)を次のように定める。\[x_1=2,\ y_1=\frac{1}{2},\ x_{n+1}=(x_n)^5\cdot (y_n)^2,\ y_{n+1}=x_n\cdot (y_n)^6\]このとき、以下の問いに答えよ。
(1) \(k\)を実数とする。\(a_n=\log_2{x_n},\ b_n=\log_2{y_n}\)とおく。このとき、数列\(\{a_n+kb_n\}\)が等比数列になるような\(k\)の値をすべて求めよ。
(2) 数列\(\{x_n\}\)の一般項を求めよ。
方針
この問題はかなり誘導が丁寧になされている。必ず完答してもらいたい。
(1) まず\(a_n,b_n\)の定義の仕方から、2つの漸化式\(\ x_{n+1}=(x_n)^5\cdot (y_n)^2,\ y_{n+1}=x_n\cdot (y_n)^6\)の両辺に\(2\)を底とした対数をとることで、\(\ a_{n+1}=5a_n+2y_n…①,\ b_{n+1}=a_n+6b_n…②\)が得られる。
ここで、①+②×\(k\)を計算することで\(a_{n+1}+kb_{n+1}=(5+k)a_n+(2+6k)b_n\)が得られるが、数列\(\{a_n+kb_n\}\)が等比数列になるための必要十分条件は上の式において\(\frac{k}{1}=\frac{2+6k}{5+k}\)が成り立つことであると気づければあとは楽である。
(2) (1)の結果をもとにして考える。
(1)の答えは\(k=2,-1\)となるから、そのときの数列\(\{a_n+2b_n\}\)、\(\{a_n-b_n\}\)について考える。
これは等比数列となることから、すぐに\(\{a_n+2b_n\}\)、\(\{a_n-b_n\}\)の一般項が求まる。
あとは連立漸化式として考えることで\(a_n\)を求めればよい。
解答

補足
\(\{x_n\}\)、\(\{y_n\}\)の初項が有理数であることと、与えられた漸化式よりすべての\(n\)に対して\(x_n\)は有理数になることがわかる。
一方(2)で出てきた答えは\(x_n=2^{\frac{1}{3}(4^n-7^{n-1})}\)で、これは一見すると有理数でないように思えることから、出てきた答えが本当に正しいか不安に思った人もいるかもしれない。
しかしこの答えはきちんと有理数になることが確かめられる。
実際\(4^n, 7^{n-1}\)を\(3\)で割った余りはともに\(1\)となることは合同式を使えば明らかだから、\(4^n-7^{n-1}\)は\(3\)の倍数になる。
よって\(x_n\)の指数部分は整数になるため、きちんと\(x_n\)が有理数になることが確かめられた。

