【数学】2025年 東北大学 理系 第4問 解答解説

問題

\(n\)を正の整数、\(a\)を正の実数とし、関数\(f(x)\)と\(g(x)\)を次のように定める。\[f(x)=n\log{x}, g(x)=ax^n\]

また、曲線\(y=f(x)\)と曲線\(y=g(x)\)が共有点をもち、その共有点における2つの曲線の接線が一致しているとする。このとき、以下の問いに答えよ。

(1) \(a\)の値を求めよ。

(2) この2つの曲線と\(x\)軸で囲まれた部分の面積\(S_n\)を求めよ。

(3) (2)で求めた\(S_n\)に対し、極限\(\lim_{n \to \infty} S_n\)を求めよ。

方針

(1) 共有点の座標を\((t,f(t))\)とおき、2つの条件\(f(t)=g(t),\ f'(t)=g'(t)\)から\(n,t\)を消去する。

(2) (1)でおいた\(t\)に対し、「\(0<x\leq t\)での\(y=f(x),\ y=g(x)\)の共有点は\((t,f(t))\)のみであること」「\(0<x\leq t\)においては常に\(g(x)\geq f(x)\)が成り立つこと」の2つを微分を用いて証明する。

そうすることで、\(S_n=\int_{0}^{t} \{g(x)-f(x)\}\ dx\)と求めることが出来る。

(3) (2)で\(S_n=\frac{n^2}{n+1}e^{\frac{1}{n}}-n\)と求まる。

これに対し、公式 \(\lim_{h\to 0}\frac{e^h-1}{h}=1\)を使うことを考える!

\(\frac{n^2}{n+1}e^{\frac{1}{n}}-n\)

\(=\frac{(n-1)(n+1)+1}{n+1}e^{\frac{1}{n}}-n\)

\(=(n-1)e^{\frac{1}{n}}+\frac{1}{n+1}e^{\frac{1}{n}}-(n-1)-1\)

\(=(n-1)(e^\frac{1}{n}-1)+\frac{1}{n+1}e^{\frac{1}{n}}-1\)

\(=\frac{n-1}{n}\cdot \frac{e^{\frac{1}{n}}-1}{\frac{1}{n}}+\frac{1}{n+1}e^{\frac{1}{n}}-1\)

のように変形することで、極限を求めることが出来る。

解答

補足

(3)の別解として、\(y=g(x),\ x=e^{\frac{1}{n}},\ x\)軸で囲まれた部分の面積が\(S_n\)よりも常に大きくなることに注目し、はさみうちの原理を用いるというものもある。

これは、「今述べた部分の面積が\(n\to \infty\)で\(0\)に収束するだろう」という図形的直感をもとに方針を立てることで出てくる別解である(筆者は\(\lim_{h\to 0}\frac{e^h-1}{h}=1\)の利用に気づけなかったため、この方法で極限を求めた)。

(\(y=g(x)\)のグラフで\(n\)を(10,20,100,1000,…)と大きくしていくことで何となくイメージが出来る。よく分からないという人は実際に関数描画アプリで\(y=x^{10},y=x^{100},y=x^{1000}\)のグラフを描画し、\(0\)から\(e^{\frac{1}{n}}\)で囲まれる部分の面積がどうなるかを確かめてもらいたい)

別解

まず、\(S_n\)が\(y=f(x),y=g(x),x\)軸で囲まれる部分の面積を表すことから、\(S_n\geq 0\)が成り立つ。(※)

一方、\(S_n=\int_{0}^{e^{\frac{1}{n}}} g(x)\ dx-\int_{1}^{e^{\frac{1}{n}}} f(x)\ dx\)と、\(\int_{1}^{e^{\frac{1}{n}}} f(x)\ dx>0\)より \(S_n<\int_{0}^{e^{\frac{1}{n}}} g(x)\ dx\)が成り立つ。

\(\int_{0}^{e^{\frac{1}{n}}} g(x)\ dx=[\frac{1}{e(n+1)}x^{n+1}]_{0}^{e^{\frac{1}{n}}}=\frac{1}{n+1}e^{\frac{1}{n}}\)であるため、不等式\(0\leq S_n<\frac{1}{n+1}e^{\frac{1}{n}}\)が成り立つ。

\(\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n+1}e^{\frac{1}{n}}=0\)より、はさみうちの原理から\(\lim_{n\to \infty} S_n=0\)

(※) もし\(S_n\)の値が本当に\(0\)以上になるかが不安なのであれば、微分を用いて証明できる不等式\(e^x\geq 1+x\)に\(x=\frac{1}{n}\)を代入することで、実際に\(0\)以上になることが確認できる。

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