出題形式・試験時間
千葉大学の入試数学は、全学部共通の問題が出題される形式です。大問1~大問9までの問題が提示され、その中から学部ごとに指定された大問を解答する形となっています。指定範囲内の大問はすべて解答必須であり、選択制ではありません。
学部別の試験時間・指定大問は以下のとおりです。(※2025年度までの情報)
文系学部
・試験時間:80分
・指定大問:大問1~大問3
教育学部(中学校コース数学科教育分野)
・試験時間:150分
・指定大問:大問3~大問8
理学部(数学・情報数理学科を除く)/工学部/情報・データサイエンス学部/園芸学部/薬学部
・試験時間:120分
・指定大問:大問4~大問8
理学部(数学・情報数理学科)
・試験時間:180分
・指定大問:大問4~大問9
医学部
・試験時間:120分
・指定大問:大問5~大問9
なお、大問番号は難易度順に並んでいるわけではありません。学部によっては比較的取りやすい問題と難問が混在しており、どの問題で確実に得点するかを見極める力が合否を左右します。
出題傾向
文系数学
千葉大学の文系数学では、基礎~標準レベルの問題を正確に処理し、論理的に答案を組み立てる力が重視されます。文系であっても記述力が求められるため、答えにたどり着けなかった場合でも、途中の考え方を示すことで部分点を狙うことが可能です。試験では大問1問あたり20~30分を目安に、時間配分を意識しながら取り組む必要があります。普段の演習から、答えだけでなく考え方を文章や式で表す習慣を身に着けておくとよいでしょう。
また、出題範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・A・B・C で、数学Bは「数列」のみ、数学Cは「ベクトル」のみが対象です。統計分野や複素数平面は出題されません。
以下は、直近5年間の出題分野をまとめたものです。
| 年度 | 大問1 | 大問2 | 大問3 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 対数関数・微分 | 確率 | ベクトル|軌跡 |
| 2024 | 対数関数|三角形 | 確率 | 二次関数 |
| 2023 | 図形と方程式|軌跡 | 確率 | 積分|二次関数 |
| 2022 | 確率 | 図形と計量 | 微積|面積と増減 |
| 2021 | 二次関数|最大最小 | 図形と方程式・数列 | 確率 |
確率と関数分野(微積分・二次関数)を中心に、図形の性質や軌跡と組み合わせた出題が続いています。多くの場合、複数の単元を横断する複合問題として構成されているのが特徴です。一方で、確率は単独の大問として扱われることが多い傾向にあります。難問は少なく、基本的な問題を確実に得点できるかが合否を左右します。計算や途中式を含めた答案の完成度がそのまま得点に直結します。
確率
毎年3題のうち1題は確率が出題され、最重要分野です。難易度は標準的で、考え方を丁寧に示すことで部分点を狙いやすいのが特徴です。余事象や排反事象など確率の基本性質を確実に押さえておきましょう。
関数分野
微積分や二次関数を中心に、ほぼ毎年出題されています。最大・最小や面積、増減といった基本的な計算の正確さが問われます。式の計算だけでなく、グラフの概形を意識して状況を把握することが重要です。
図形と方程式
特に図形の性質や軌跡は関数分野など他分野と組み合わせて出題されることが多い分野です。条件を式で整理し、点の動きや位置関係を図やグラフで捉える力が求められます。難易度自体は標準的なものが多く、軌跡の求め方や円・直線の基本性質を理解しておくことが大切です。
学習はまず基礎固めから始め、公式や基本性質、典型問題の解法を自ら組み立てられるようにしましょう。基礎が固まる前に難しい問題や過去問に手を出す必要はありません。ただし、高3の春までに一度過去問に触れ、問題の難易度や形式を確認しておくのは有効です。そのうえで標準問題に取り組み、複数単元の組み合わせや考え方の記述になれることが大切です。標準問題まで安心して解けるようになったら、過去問演習で得点の取りやすい分野を中心に確認・定着させましょう。最終的には「2問完答+部分点」が理想的です。
理系数学
千葉大の理系数学では、基礎~標準レベルの問題に加え、深い洞察力を必要とする問題や証明・図示を伴う問題も出題されます。大問ごとに難易度が異なるため、取りやすい問題を見極め、正答率の高い問題を確実に得点することが重要です。大問1問あたり20~30分を目安に、難易度の高い問題に時間をかけすぎないよう、時間配分を意識して取り組みましょう。文系数学と同様に、普段の演習から答えだけでなく考え方を文章や式で表す習慣をつけておくと効果的です。
また、出題範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C で、数学Bは「数列」のみ、数学Cは「ベクトル」及び「平面上の曲線と複素数」が対象です。
| 年度 | 大問4 | 大問5 | 大問6 | 大問7 | 大問8 | 大問9 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025 | 数列|漸化式・不等式 | 確率 | 積分|円と曲線・面積 | 微分|グラフの概要 | 複素数平面 | 高次方程式 |
| 2024 | 積分・複素数平面 | 確率|極限 | 積分 | 高次方程式|極限 | 図形と計量|極限 | 数列|極限 |
| 2023 | 微分・極限 | ベクトル | 確率漸化式 | 積分 | 複素数平面 | 微分 |
| 2022 | 整数 | 確率 | ベクトル | 数列 | 積分・極限 | 微分 |
| 2021 | 整数 | 確率 | 図形と方程式|軌跡 | 複素数平面・三角関数 | 積分・極限 | 微分 |
微分積分を中心に、確率、ベクトル、図形と方程式など幅広い分野からバランスよく出題されます。基本的には単一の単元で完結せず、複数の単元を組み合わせ複合問題が多いのが特徴です。特に、極限を他分野と融合させた問題は毎年出題されています。また、医学部及び数学・情報数理学科のみ解答が必要な大問9においては、これらに加え、問題で提示される初見の条件から新たな法則性を考察する力が求められます。
微分積分
数学の柱となる分野であり、毎年複数の大問で出題されます。面積や体積などの計算力はもちろんのこと、図示の問題も含まれるため、正確なグラフの把握が必要です。非常に計算量が多い大問でもあるため、いかに素早く正確に処理できるかが勝負を決めます。
確率
例年Ⅰ題は、基本的に独立した大問として出題されています。特に、試行の推移を整理して漸化式を立てる確率漸化式の形式が目立ちます。計算自体は標準的ですが、数列や極限と組み合わされることが多いため、他分野と連帯した理解が必要です。
極限
微分積分を中心とした他分野の最終ステップとして、毎年のように登場します。年度によっては、複数の大問の最終設問が極限を求める形になっている場合もあります。特に無限級数の収束を扱う問題が頻出です。どの単元を学習する際も、常に極限までセットで意識しておくと良いでしょう。
大問9
医学部及び数学・情報数理学科のみ必要です。これまでの融合問題に加え、問題独自の特殊な設定や法則を読み解く現場思考力が問われる一題です。まずは具体例で実験して規則性を見つけ出し、それを一般化して論証するプロセスが重要となります。非常に難易度が高いため、深追いしすぎず部分点を拾い、他の大問に充てる時間を確保するといった、試験全体の立ち回りも重要になります。
学習はまず数学Ⅰ・Ⅱ・A・B・Cの基礎固めを早期に完了させ、典型的な問題の解法を論理的に組み立てられるようにしましょう。まず、高3の春の段階で一度過去問に触れ、計算量の多さや融合問題の形式を体感しておくことが、その後の具体的な学習計画を立てる上で非常に有効です。理系数学の柱となる数Ⅲは、学校の授業進度では間に合わない場合もあるため、参考書等を用いて自習を進め、高3の夏までには標準的な問題が一通り解ける状態を目指しましょう。標準問題まで解けるようになったら、入試標準~応用レベルの参考書で応用力を養い、仕上げとして過去問演習で強化しましょう。最終的な目標は、一般的な理系学部では「2~3問完答+部分点」、医学部・数学科では「4問完答+部分点」となります。

